ニュースやネットなどで最近3Dプリンターについてよく耳にすることがありますよね。立体的なものが作れるということは知っていても、「いったいどんな仕組みでできるんだろう」と不思議に思ったことはありませんか?
どんな素材でできているのかも気になりますよね。この記事では、3Dプリンターの簡単な仕組みや使っている材料について、分かりやすく解説したいと思います。
1 3Dプリンターはこうやって立体物を作っている!
一般的に3Dプリンターは、3次元データをもとに材料を積層して立体物を作ります。そう言われてもなんだかピンと来ないかもしれませんね。イメージとしてはスポンジケーキとクリームを交互に重ねていって、1つのホールケーキを作る感じです。
パンでいえば、薄い生地を重ねて作るクロワッサンを想像すると良いかもしれません。造形方式は以下のようなものに分けることができます。
材料押出堆積法/FDM
材料を溶かしてノズルから押し出して造形する方式です。
マテリアルジェッティング
インクジェットヘッドから素材を噴射して紫外線で固めていく方式です。
バインダージェッティング
インクジェットヘッドから素材を噴射して、粉末を1層ずつ固めます。
粉末焼結積層造形
レーザーで素材を焼いてくっつける方式です。
それぞれの方式にメリット・デメリットがありますが、造形方式に合わせて使う素材も変わってきます。一口に3Dプリンターと言ってもいろいろな仕組みが存在するんです。
2 3Dプリンターの基本的な素材
3Dプリンターで使われる素材と聞くと、樹脂をイメージする方がきっと多いのではないでしょうか?でも実は樹脂以外にもたくさんの素材が使われているんです。よく使われる素材としては以下のようなものがあります。
・ABS
電化製品などに使われる素材です。塗装がしやすくて衝撃にも強いのが特徴です。
・ポリ乳酸(PLA)
植物由来の乳酸から作られるプラスチックです。初心者が使うのに向いている素材です。
・PPライク
光硬化性アクリル樹脂の一つです。高精細プリンターでよく用いられます。
・ゴムライク
ゴムのような柔軟性を持つ素材です。
・ポリカーボネート
耐久性が抜群で、精密機器や自動車部品によく使われます。耐熱性にも優れています。
・ポリプロピレン
柔軟ながら強度があるプラスチックです。酸やアルカリや油などの薬品に強いという特徴があります。
・Ultem
耐久性や耐熱性、耐薬品性に優れているプラスチックで、なんと航空機などの部品にも使われています。
・石膏
硫酸カルシウムが成分の素材です。着色が可能とあって、模型に使われることがあります。
・金属
チタンや銅やアルミなどの金属も使用されます。金属製のものは試作品を作るためではなく、そのまま最終製品として利用できるとして注目されています。
・ウッドライク
木の粉とナイロンの粉末を混ぜて作った素材です。木のような質がありますが、実は日本のオリジナル素材です。
3Dプリンターではこのようにいろいろな素材を使って立体物を作っていきます。「こんなに種類があるんだ!」と驚かれたのではないでしょうか。
ちなみにFDMやマテリアルジェッティングなどの造形方式で使う素材は「フィラメント」と呼ばれています。フィラメントは普通のプリンターでいうところのインクのようなものです。
3Dプリンターの実物を見たことがある人は、プリンターの隣にリールに巻き付けてあるカラフルなケーブルのようなものを見たことがあるかもしれませんね。あれがフィラメントです。
3 材料って高いの?
矢野経済研究所によると、3Dプリンターで使われる材料の世界市場はなんと約2,070億円にもなると期待されています。今後ますます材料が生産・消費される可能性がありますが、そうなると気になるのは材料のお値段ですよね。
プリンター本体の費用だけでなく、材料のランニングコストも気になるでしょう。先述のように材料はたくさんあって、素材によっても値段は変わってきます。
一例として、家庭用3Dプリンターなどで広く使われているABSやPLAなどは1kgあたり相場が3,000円~6,000円くらいするようです。
仮に1㎏4,000円のフィラメントを使ったとすると、1gあたり約4円になります。重さが50gのフィギュアを作ると、単純計算で200円になります。そう考えると材料費はけっこう安いと思われるのではないでしょうか?
今後3Dプリンターが普及したら、材料費も安くなってくるかもしれませんね。
4 まとめ
3Dプリンターは材料を積層して高さを出していくのが一般的な方法です。造形方式や素材の種類はいろいろありますが、今後新しい素材が開発されることもあるかもしれませんね。
材料代はそれほどかかるものではないので、ランニングコストはあまり気にせずに家庭用3Dプリンターの購入を考えても良いでしょう。
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