3Dプリンターは以前は高価なモノでした。しかし最近は特許が切れたために一気に普及してきています。家庭用3Dプリンターと呼ばれるものであれば、数万円で買えるものがいろいろとあります。中には9,000円台というプリンターも出てきています。
その一方で、業務用3Dプリンターと呼ばれるものもあります。両者の違いについては、「家庭用プリンターが小型のプリンターで業務用3Dプリンターは大きなサイズ」というイメージを持つ方も少なくないでしょう。
でも具体的にどんな点が家庭用と業務用で違うのか、イマイチ分からないという方もいらっしゃいますよね。そこでこの記事では、家庭用と業務用3Dプリンターの違いについて説明したいと思います。また業務用プリンターの選び方とおすすめ機種も合わせてご紹介します。
1.家庭用3Dプリンターと業務用3Dプリンターの違いは何?
家庭用3Dプリンターと業務用3Dプリンターには以下のような違いがあります。
・造形方式が違う
家庭用の3Dプリンターで主流な造形方式は熱溶解積層方式です。この方式ではPLA樹脂やABS樹脂などを使いますが、材料費が安いのでランニングコストを安く抑えることができます。
一方業務用の3Dプリンターは「光造形方式」や「粉末固着(接着)方式」、「インクジェット方式」などが主流になっています(最近は家庭用でも光造形方式が出てきている)。家庭用プリンターのメイン素材である樹脂だけでなく、金属やセラミックなどの素材に対応していたり、フルカラーで使えるものなど高性能です。
・値段が違う
価格も違います。安くて多くの人の手に入りやすいのはもちろん家庭用です。先述のように家庭用3Dプリンターの中には1万円前後で買えてしまうものがあり、10万円以内であれば、10製品もあります。(2019年5月時点の価格.comの価格情報を参照)。
一方業務用3Dプリンターは数百万円もする製品が一般的です。ミドルクラスのものであれば250万円以下、ハイクラスのものはそれを大きく上回るものもあります。中には数千万円もする機種もあります。
・仕上がりの強度や質が違う
家庭用のプリンタでも高性能なものがあるので一概には言えませんが、やはり高価な業務用3Dプリンターはより強度が高く再現性が高い物を作ることができます。
このように家庭用と業務用の3Dプリンターでは違いがあります。とはいえかつて高価なものだった3Dプリンターの価格破壊が起きて、最近では高性能なものが安く買えるようになっています。家庭用と呼ばれるプリンターでも数十万円するものがある一方で、業務用とされるものが100万円前後で買えることもあります。今後家庭用と業務用との大きな違いはなくなってくる可能性もあります。
2.業務用プリンターの選び方
「より高精細の仕上がりが欲しい」という場合、家庭用ではなく業務用の3Dプリンターの購入を考える方もいらっしゃるでしょう。そこで業務用プリンターの選び方のポイントをご紹介します。
ポイント1:造形方式で選ぶ
3Dプリンターの造形方式には色々な種類があります。造形方式によって特徴があるので、まずは用途をはっきりさせましょう。一般的に複雑な形のものを作りたいなら光造形方式、コンセプトやアイデアを形にしたいだけなら熱溶解積層方式、耐久性を求めるなら粉末焼結積層方式など、それぞれの特長と目的とがマッチするものを探しましょう。
ポイント2:材料で選ぶ
3Dプリンターでは様々な材料を使います。家庭用では樹脂が一般的ですが、業務用では金属や木材やセラミックなど使える材料の幅も拡がってくるので、用途に合わせた材料選びが必要です。製品によっては複数の材料を組み合わせたり、食品を材料にできるものまであります。
ポイント3:サポート体制がしっかりしているかチェックする
購入してからしっかりメンテナンスやサポートをしてくれるかをチェックするのも大事です。1台数百万円もするものであれば特にそうです。費用をけちって使い勝手が悪いものを選ぶより、サポートがしっかりしていて高性能なものを選ぶ方が長い目で見て良いです。
3 .業務用プリンターのおすすめ機種はこれ!
業務用プリンターのおすすめ機種をいくつかご紹介します。
引用元:株式会社YOKOITO
・Formlabs Form 2
値段:469,800円(税別)
造形サイズ:145×145×175mm
本体寸法:300×280×450mm
重量:13kg
積層ピッチ:0.025~0.2mm
造形方式:光造形
比較的安価な製品です。光造形方式なのでハイクオリティの造形物が制作でき、デザインもスタイリッシュです。
・monoFab ARM-10
値段:680,000円(税抜)
造形サイズ:130×70×70mm
本体寸法:430×450×450mm
積層ピッチ:0.15mm
造形方式:光造形
光造形方式なので仕上がりがきれいな上に、操作画面が分かりやすくコンパクトな作りになっているので設置場所にも困りません。吊り下げ方式を採用していて、造形物を支えるサポートに使う樹脂の消費量も最小限に抑えられます。
4.まとめ
業務用の3Dプリンターは家庭用のものよりも高性能で、きれいな仕上がりになります。家庭用でも高性能・高品質なものが出てきているので十分きれいなものができますが、「とことん仕上がりにこだわりたい」という場合は業務用がおすすめです。
ただ業務用は費用が高いので、用途や使う材料などをしっかり見極めたうえで購入するようにしましょう。また安価な買い物ではないのでサポート体制のチェックも大切です。「RICOH Rapid Fab」など様々な3Dプリンターを展示している場所に行くなど、実機確認をしてから買うのもおすすめです。